テーマを絞った歯科矯正情報
筋肉が正しい運動を行えるように噛み合わせをつくっていけば、体調の改善は認められますが、上下真ん中の線が完全に一致しなかったり、治療期間がほかの症例より少し長くかかったりして、一番難しい治療です。
子どものときに明らかな左右のズレが認められる場合は、できれば左右の顎のズレだけでも治しておけば、大人になってから矯正治療をするときも楽に治療ができます。
噛み合わせの病気は現代病だということはすでに述べましたが、それではなぜ、噛み合わせの悪い人が増えてきたのでしょうか。
文明は、私たちの暮らしが、より便利に、より快適になるように進歩を遂げてきました。
かつては自分の足で歩いていたものを、電車や自動車、飛行機など、より速く、より正確に空間移動できる手段が考案されてきました。
産業革命以降、私たちの文明は加速度的に発展し、とくにここ半世紀ほどの目覚ましい発達は、何よりも私たちが一番実感しているのではないでしょうか。
私たちの日々の食事も、より美味しく食べることが追求されるとともに、咀嚼の負担が少ない軟らかい食べ物に変化してきました。
あまり噛まなくても食事ができて、十分な咀嚼が行われないまま食べ物が体内に取り込まれるようになったことで、顎の発達が十分なされなくなり、昔に比べて現代人は顎が小さくなってきました。
現に江戸時代以前でも、美味しいものを食べられる特権階級の将軍や貴族といった人たちの顎は、一般庶民の顎より小さかったといわれています。
これは顎を十分に機能させておかないと、十分な顎の発達が期待できないということを示しています。
また、昔の子どもたちは、家の手伝いや遊びなどで知らず知らずのうちに筋肉を鍛えていましたが、いまの子どもたちはゲームや塾通いなどで、遊ぶ時間も相手もなく、体は大きくても筋肉の弱い子どもばかりが目立ちます。
顎の発達が不十分で筋肉の弱い子どもたちは、必然的に噛み合わせの悪い状態が作り出されていくのです。
このように、アレルギーやアトピー性皮膚炎などと同様に、時代の変化によって作り出された現代病のひとつが、不正な噛み合わせとそれにともなう数々の不快症状なのです。
歯の噛み合わせと肩こり・頭痛・不妊症などの症状が関係するのは、噛み合わせが悪いために、食事などで上下の歯が触れるたびに顎周辺の筋肉がねじれた位置で収縮し、筋肉に過度の緊張が生じて異常に収縮して硬くなり、肩こりや首のこりといった筋肉のトラブルが生じてくるからです。
筋肉には、意識して動かす筋肉と無意識のうちに条件反射的に動かす筋肉があり、食事は無意識に一定の動きで連続して食べ物を噛み砕き、食片のかたまりを唾液といっしょに飲み込むようになっています。
この一連の筋肉の運動が不自然な動きで行われた場合、筋肉に過度の負担がかかってしまうのです。
人間の体は、筋肉を動かすことによって骨が動き、活動します。
上の顎は頭蓋骨の一部として固定されているので動くことはありませんが、下の顎は筋肉の収縮によって前後左右と自由に動くことができます。
そのため噛み合わせの悪い人は、歯が接触するたびに咀嚼筋がねじれた状態になり、過度の負担がかかってしまうのです。
その筋肉のねじれによって首の頸椎の中の神経や血管に負担をかけることになり、ひどい生理痛・めまい・吐き気・疲れやすさなど、一見して歯とはまったく関係のない症状が引き起こされてしまうのです。
口の中は、髪の毛1本入っても違和感を覚える繊細なところであり、顎は体の関節の中で唯一、回転運動と滑走運動をする精密な場所なので、ほんの数ミリのズレが体に多大な影響を及ぼします。
噛み合わせのズレは、筋肉のみならず頸椎にまで影響を与えます。
ですから自律神経に異常を訴える人は、噛み合わせの悪い人に多く見受けられます。
自律神経とは、自分の意志とは関係なく、呼吸をしたり、心臓を動かしたり、体温調節をしたり、新陳代謝をしたりする、動物が生きていくために必要な情報を伝える神経です。
自律神経は、交感神経と副交感神経によってバランスを保っていて、交感神経には感情を興奮させる働きがあり、副交感神経には体をリラックスさせる働きがあります。
自律神経失調症とは、交感神経の異常によって生じる病気で、めまい・倦怠感・疲労感・不眠症・食欲不振・耳鳴り・高血圧など、多くの症状が現れます。
それらの主な原因は、ストレスによるといわれています。
顎関節症というのは、噛み合わせのズレによって口が開けにくくなったり、口を開けるとガクガク音がしたり、顎の関節や筋肉に痛みを感じる病気の総称です。
顎関節症の人も、自律神経失調症の人と同じ症状を訴えることが多く、メニエール病の人もまた、これらと同じ症状を訴えることが多いのです。
自律神経失調症もメニエール病も、原因はストレスといわれていますが、ストレスのコントロールはそれほど容易なことではありませんし、ストレスそのものをなくすことは現実的に不可能です。
顎関節症の場合は、正しい噛み合わせをつくっていくことが可能です。
噛み合わせ治療によって、これらの症状が改善されていくことを考えると、自律神経失調症やメニエール病の解決のカギも、正しい噛み合わせ治療の中にあるのかもしれません。
噛み合わせが筋肉や頸椎に多大な影響を与えていることを説明しましたが、実はそれだけではありません。
噛み合わせがズレルことによって、簡単に体が歪んでしまうのです。
ほとんどの新生児は、体に歪みもなく出生します。
ところがその後、毎日の生活や姿勢などによって、前後左右のどちらかに偏っていくような悪い習慣が日常的になってしまうと、体はその方向がその人にとって正常な筋肉の収縮として受け入れてしまうのです。
たとえば、片方ばかり向いて寝ている人は、その方向で寝るのに都合のいい筋肉の状態になってしまった、いつも同じ方向でテレビをみながら食事をしている人は、その位置で過ごすことが体にとって一番楽なので、その位置を基準として筋肉が順応してしまいます。
同様に、同じ方向から腕枕をしてテレビをみたり、同じ側の手で頬杖をついたり、同じ側の足で足を組んで座っていると、短期間では問題にならなくても、何年、何十年と繰り返されるうちに、筋肉が完全にその位置でインプットされてしまうのです。
噛み合わせに当てはめると、噛み合わせが前後左右いずれかの方向にズレテしまうと、食事のたびにその位置で筋肉が間違った収縮を、繰り返し覚えさせられることになるので、顎周辺の筋肉がねじれた位置で動くようにインプットされてしまいます。
人間の体は、脳からの指令で筋肉を収縮させることによって骨を動かします。
つまり、筋肉によって骨は自由自在に動くのです。
ですから顎周辺の筋肉がねじれて固定されてしまうと、肩・首・背中・腰の筋肉にまで影響を及ぼし、一見すると離れているひざのあたりにまで、左右の筋肉の収縮に違いを生じさせてしまうのです。
昔の人のように筋肉が強ければ、多少、顎周辺の筋肉がズレテも、毎日の悪い生活習慣ぐらいでは体全体にまで歪みを生じさせることはないでしょうが、筋肉の弱い現代人は、少しの顎の歪みでさえ体全体に多大な影響を及ぼしてしまうのです。
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